他人は自分を映す鏡

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相手に対して抱く印象の中に自分の本心を見る

「人間は万物の尺度である」と言った古代ギリシアの哲学者プロタゴラスの考えは、何世紀も超えた今現在でも通用する考えだと思って、私は深く共感しています。この世界のあり方は、その人それぞれによって様々です。もっと言えば人間以外の動物や植物によっても様々です。私達はコミュニケーションを通じて他人と共感したり意見を交わしたりできますが、誰一人として他人の見えている世界を本当の意味で共有することはできません。

この考え方から自然に導き出されることがあります。それは、「他人は自分を映す鏡」だということです。他人に対して憧れる要素があれば、それは自分がほしいと思っている願望の現れです。他人に対して不快に思うことがあるとすれば、それは自分の中にある自己嫌悪の現れと言えます。誰だって、かかわり合いのある相手からは「自分がどう思われているか」が気になるはずです。その想定は、あくまで、自分からみた他人像であって、それがあっている場合もあれば勝手な思い込みである場合も多いものです。

世の中を「ありのまま見る」ということは、誤った認識をしないために非常に重要なことです。しかし前述の通り、私達は他人やこの世の中をバイアスをかけて見ています。いや、バイアスをかけて見るほかないとも言えるでしょう。断片的な情報から、自分の頭の中の記憶を頼りに類推し、自分の中で他人像や世界像を構築していきます。なので、自分が思う他人のことは、自分の頭の中で描いているものがほとんどだと言えます。

「すべての悩みは対人関係」とは、アドラー心理学の基本となる考え方です。悩みが心を満たすと、今ここに集中することができず、自分のために時間を使うことが難しくなっていきます。世の中や他人がどう見えているかは、全て自分の心の中が作り出しているものだとすれば、それの問題を解決する方法は、後にも先にも自分の心の中にしかありません。他人に対して特定の感情を抱くことがあれば、それは自分でも気付いていない「自分の心」に気付くチャンスです。自分の心に気づいて、ありのままの自分と仲良くなれれば、人はきっと大きく成長し、肯定的に前に進んでいけます。いろんな人と関わり合う中で、そんなシーンがあれば、一度そういったことも考えてみてはいかがでしょうか。

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