同期を使わずライブで効果音を鳴らす
音楽活動を続けていく中で、過去に使ったけどもう手放してしまった楽器や機材というのも増えていきます。
今回は、そんな思い出の機材の中で、ROLANDのハードウェア・サンプラーであるSP-404をご紹介します。
これは、サンプル(音の素材)を本体に取り込んで、ワンタッチで再生できるようにする機材です。DJが効果音を鳴らすために使ったり、演劇の舞台でポン出し(劇中に音楽や効果音をタイミングよく流すこと)に使われたりします。
私はバンド活動を積極的にやっていた頃、アニソンなどでキーボードを担当することが多く、原曲にある様々な音色や効果音を出したいと思ってこのサンプラーを導入しました。アニソン系のバンドでは、ライブでも表現する音色を増やすため、よく同期(ライブでの演奏に合わせて予め用意してある音源を流すこと)を使いますが、私はなるべく自分の生演奏でそれを再現したいと思っていました。
中古で買ったサンプラー
私が当時、中古で買ったサンプラーが、冒頭でもご紹介した「ROLAN SP-404」です。

上部の4つのツマミと、小窓のような液晶ディスプレイ、12個のパッドという形が特徴的で、その適度なサイズ感は、キーボードなどのメイン機材の脇に置いておくのにちょうどよく、操作性も高い絶妙なものだと思います。
サンプルはもともと入っている定番の音(クラップなど)に加え、自分で用意したwavデータを取り込んで鳴らせる仕様でした。私はライブ前の仕込みとして、パソコンで効果音を用意し、このサンプラーに取り込んで、パッド操作で鳴らせるようにしていました。ライブや曲によって使う効果音も異なるので、ライブ中に操作を間違えないように、それぞれのパッドに白いビニールテープを貼って、そこに効果音の名前を書いておいたりもしました。
特に思い出深いのが、このサンプラーに音を取り込むとき、「コンパクトフラッシュ」を介さないといけないことです。今では、小型の記憶媒体としてSDカードやUSBメモリくらいしか使われませんが、その黎明期には各社からいろいろな規格のものが出されていました。ソニー製品はソニーらしく「メモリースティック」という独自のものを使っていて、PSPとかもそれしか使えませんでした。「コンパクトフラッシュ」はデジカメとかにも使われていたような記憶がありますが、今では淘汰されてしまっているので、SP-404は当時の黎明期の時代を感じさせる仕様となっています。
効果音出しも要練習
こうして生演奏での「効果音」に情熱を注いで使用していたSP-404ですが、反省もあります。
それは、効果音の仕込みを頑張るあまり「効果音を出す練習」をあまりできなかったことです。
当然のことながら、バンドでの生演奏中に効果音を自分で出すためには、演奏の中の適切なタイミングでパッドのボタンを押さなければいけません。ところが、自分は基本的にはキーボードを演奏しています。さらにアニソンなどはテンポが速い曲も多い中、その状態でサンプラーの適切なボタンを、時にはパッチを切り替えたりしながらタイミングよく操作するのは意外と難しいものでした。短い効果音を16分音符でテンポよく刻んでいくのなんかは至難の技でした(本来の使い方じゃない?)
ただ、そこまでやったことによって、「生演奏では何をすべきか」という根本を考えるようにもなったのは経験として大きかったと思います。制作された音源には、様々な音色や効果音を好きなだけ詰め込んで配置できますが、いざ生演奏をするとなったとき、果たしてそれらをすべて演奏で再現する必要はあるのでしょうか?限られた人数と楽器で、生演奏だからこそできる表現もあるんではないか、と考えられるようになったのは、「サンプラーを使ってまで音源の再現」を目指したことが一因だったようにも思います。
まとめ
SP-404は、ハードウェアのサンプラーの決定版とも呼べる製品で、私はバンド活動のときに、効果音まで「演奏する」という目的で活躍してくれました。
また先日、Rolandから、SP-404シリーズの最新版がアナウンスされました。

中身は今の時代に合わせてアップグレードされているみたいですが、見た目は懐かしいSP-404のままで、なんだかホッとしてしまいます。パッドの数が増え、液晶ディスプレイは波形が見えたりと、より使い勝手が向上してそうで、私も機会があれば使ってみたいと思っています。

ROLAND ( ローランド ) / SP-404MKII サンプラー
コメント