【注意】AVENGERが上級者向けな6つの理由【万能シンセ音源】

DTM

AVENGERは買いか?

現代的な音楽を作る上で、シンセサイザー音源の使用は不可欠です。

中でも特に有名なのが、SERUM,NEXUS,SPIRE,MASSIVE、そしてAVENGERではないでしょうか。

AVENGERは後発のソフトながら高品位なサウンドと強力なプログラミング能力を備え、かつ本体価格が抑えめということもあり、検討しているor購入した人も多いと思います。

AVENGERの詳細情報ページ
VENGEANCE SOUND社製 ソフト音源 「AVENGER」の製品詳細情報ページです。

私も実際AVENGERを制作でよく使います。確かにコスパ抜群の素晴らしいシンセである反面、使いこなすのは大変だと感じます。

AVENGERの導入を検討されている場合、自分で「ソフトウェア・シンセサイザーの扱いに慣れている」か、「あまり慣れてはいないけれでも、シンセを自由自在に使いこなすために、膨大な試行錯誤とマニュアル読み込みとアウトプットの時間投下をする覚悟がある」というのでなければ、基本的にはあまりオススメできないと思っています。その理由を解説します。

AVENGERの上級者向けポイント

できることが多すぎる

AVENGERは基本的に、最大8+1のサウンドエンジンを1つのソフトウェア内で完結して鳴らせるシンセサイザーです。オシレーターとして選べる波形は膨大で、レイヤーもでき、アルペジエイター、シーケンサー、フィルター、LFO、エンベロープなどの基本的なパターン化やモジュレーション機能も完備しています。エフェクトも高品位なものを多数搭載しており、1つの単体のソフト音源として強力すぎる機能を持っています。

これは、裏を返せば「目的の音を出す」ための選択肢が膨大だということにもなります。「過ぎたるは及ばざるが如し」となって、音楽制作の作業で時間と労力を余計に費やしてしまいかねません。

プリセットが探しづらい

AVENGERの左上のプリセットブラウザは、他のシンセソフトに比べると不十分な印象です。カテゴリ分けやタグ付け、フェイバリット、検索などの機能が弱く、画面も小さいためプリセットを探して管理するのは少々面倒です。プリセットのカテゴリと音色名と、出したい音の対応付が頭でできていたり、プリセットを作りこんでほぼオリジナルなものしか使わないレベルなら問題にはならないのですが、そのレベルになるには相当使い込まなければいけません。

音色の各種ルーティングがわかりにくい

前述の通り8+1(ドラム)のサウンドエンジンに、それぞれパターンやモジュレーションやエフェクトを自由自在に組み合わせて音作りできるのがAVENGERの強力な特徴です。しかしそれだけの機能があると、ルーティングの設定はかなりややこしくなります。「何に対して」「何を」「どれくらい」影響させるか、というのは、はじめはワケがわからない状態になると思います。シンセの扱いになれた人なら、他のソフトでも共通するような操作感で対応できますが、それにしても膨大なマトリクスをUIと自分の頭で補完して考えなければいけないのは、明らかに上級者向けと言えるでしょう。

UIが小さく見づらい

これだけ多機能なものを、一つの画面のUIに詰め込んでいるのがAVNGERであり、当然その代償としてUIは小さく見づらいものになっています。シンセに不慣れな人にとってはかなりフシンセツです。

ライブパフォーマンス指向な作り

AVENGERが8個の独立したサウンドエンジンを持ち、キーゾーンの設定によって、物理鍵盤で演奏できる音を分けられ、さらにマクロ機能によってリアルタイムにサウンドを変化させられてようになっているのは、とてもライブパフォーマンスに特化した仕様と言えます。デジタルワークステーション・シンセに慣れている人ならば、ライブパフォーマンスでこれらの設定ができるときは、一人で様々な音色を演奏できるメリットを実感できると思いますが、その反面設定の煩雑さも併せ持っています。

これが、ノートPCとオーディオI/OとMIDIコントローラーによって、実際にライブパフォーマンスに用いるならば、とても強力な音源となるでしょう。一方で、DAWによる音楽制作目的のみの場合は、ここまでの機能が必要になることはありません。「これはライブ用だから、制作では不要」というように、機能の役割を割り切って判断できることが、AVENGERを使いこなすには不可欠です。

独特なライセンス認証

AVENGERは、ソフトの使用ライセンスの認証にCodeMeterという認証ソフトを使います。

ソフトウェア保護とライセンス管理は CodeMeter - Wibu-Systems
ソフトウェア保護と効率的なライセンス管理の仕組みを提供するソリューション【 CodeMeter (コードメータ 】 。開発したソフトウェアを違法コピーやリバースエンジニアリングから保護、柔軟なライセンスモデルへの適応により不正利用を防止し新たな収益モデルを構築可能です。

厄介なのが、CodeMeterのバージョンアップを定期的に行わないと、AVENGERのライセンス認証も切れてしまう点です(執筆時点)。

これは国内代理店のSONIC WIREでもアナウンスされています。

SUPPORT AVENGER| SONICWIRE
AVENGERに関するサポート情報一覧です。

使っている側としては、突然わけもわからず「ライセンスがあと〇〇日で切れます」みたいな表記が英語ででてきて、解決策を海外の英語表記のサイトで確認するという煩わしいイベントが発生してしまいます。こういった問題にも地道に対応しなければいけないのが、AVENGERユーザーの宿命です。

(私が以前、ライセンス認証問題を解決したときの方法は記事にしてあります)

まとめ

現代的な音楽を制作する上で、バキバキにかっこいい音が出るシンセサイザー音源はマストで買うべきソフトです。

AVENGERはコスパ抜群で、高機能で音もいいのですが、私としては「使う人を選ぶ」といった印象です。シンセ音源の扱いに相当なれていないと、かなり苦労することになると思います。そういうのが好きなドMの人にはぜひオススメですが、まずは音楽制作で曲作りに集中したい場合は、もっとユーザーフレンドリーなシンセを選ぶといいと思います(reFX NEXUSか、SERUMあたりでしょうか)。

以上、音楽制作を楽しむ皆様の参考になれば幸いです。

サウンドハウス

コメント

タイトルとURLをコピーしました