都市計画の魅力
都市計画という分野は、学校で習うわけでもなく、多くの人にとって縁のないものかもしれません。
しかし、それは為政者や都市開発を担当する不動産会社などの意思決定側の立場での話であり、もっと一般的に、多くの人は土地と建物に住んで、道路や交通機関を利用し、公共施設を利用したりと、都市計画に関わりのある暮らしをしています。
都市計画はまさに、土地の利用や道路の敷設、建物や公共施設、そして防災など、私達の生活と密接に関わっている分野です。
現代の街並みは、その多くが計画によって整備されてきました。人々がより豊かな暮らしをし、清潔で安全が担保されるよう、都市計画によって今の形があります。
ですが、ときに私達は、都市における事故や災害、人間同士のトラブルなどに苛まれます。未だに完全な都市などなく、常に人々にとって理想的な都市は研究され続けています。そんなスケールの大きいことを考えるのが、私の思う都市計画の魅力です。
ただ、私は学生時代に都市計画を学んで、疑問に思うこともありました。それを順を追ってまとめてみようと思います。
問題点と解決策
都市計画は、人々が集まって暮らし、社会活動を行う都市についての総合的な分野です。そこには、土地区画や道路、鉄道、建築、防災など様々な細かな分野が派生していきます。
シンプルに考えれば、私達が暮らす街(都市)について、起こっている問題点をとりだし、その解決策を追求するのが都市計画です。東京都心のように、すでに多くの人が集まっている場所についてもそうだし、未だに森林や田畑しかないような場所に新しく都市を開発するケースだってあります。
この問題の解決策として、専門家は様々なツールを用います。歴史研究や社会調査のようなソフト面もそうだし、土地や気象などの科学的な研究、そして人間の動きを数理モデルにした解析などもあります。総合的な研究をもとに、最も望ましいと思える都市のあり方を提示していくことが、都市計画の最たる目的、、、のはずです。
しかし、私はそこで疑問に抱くことがありました。
政治と行政
都市計画を研究する多くの先生方、そして学生たちは、真剣に都市の課題に取り組みます。
一方で、実際の街はどうでしょうか?
世の中を見てみると、あきらかに非合理的な利用のされ方、無駄の多い政策、機能不全に陥っている行政など、せっかく集積した知恵が実際の年に活かされていない実情を多く知ることになります。
政治は決して、科学的な合理性だけで決まるものではありません。
様々な利害関係者がいて、複雑なパワーバランスのもとで決定がくだされます。
学者や研究者が追い求める理想は、必ずしも現実に反映されるとは限りません。
本当に都市の問題を解決したいと思うなら、都市計画の研究だけでは不十分で、それとは別に社会に影響を与える力が必要だということも、今日の社会においては揺るぎない事実であることを忘れてはいけません。
まとめ
スケールの大きい都市計画は、その影響が私達の生活に密接に関わっています。
多くの先人達の知恵と努力のおかげで、都市を基盤としたいまの便利で安全な生活が享受できていることには感謝の念が尽きません。
一方で、問題とその解決策を追求するのとは別のベクトルで、都市のあり方は決定されているということもまた事実です。
ではそのことを決定している人たちは誰でしょうか?その人達を選んでいるのは誰でしょうか?
このような順番で考えていくと、都市計画は案外、私達にとってとても身近で、興味関心をもって見るべき分野であるように私は考えています。
コメント