自分の頑張りに期待しない
多様な働き方が持て囃されてる昨今、今まで自分が挑戦したことのない新しい分野で仕事をするように勧める人が多くいます。そのときによく使われる言葉が「未経験から〜になろう!」みたいな宣伝です。プログラミングとか、動画編集とか、イラスト作成とか、音楽制作とか、クリエイティブっぽくて今っぽい仕事ができるなら魅力的ですが、これは信じてしまっていいのでしょうか?専門的な仕事が未経験でもできるようになる?そんなことがあるんでしょうか?
結論としては、大抵の人がイメージする「未経験からプロ」は、現実とはかけ離れている場合が多く、夢を見すぎないほうがいいと思います。もちろんケースバイケースで例外はありますが、これは教材を売るためのセールストークだと思って斜めに見たほうがいいでしょう。
そもそも「未経験」とはどんな状態でしょうか?「プロ」の定義はなんでしょうか?
例えばプログラミングなら、学生の頃からパソコンが趣味で、かんたんな自作アプリを作ったりwebサイト制作の経験があったりする、一般的な会社員営業職のAさんとか、自身はプログラマーではないけど普段の会社の業務でプログラマーとやり取りしていて、自分でもRDBを触れたりオブジェクト指向言語の要点をわかっているBさんも、プログラマーの業務としては「未経験者」ですし、一方で飲食店のアルバイト経験しかなく普段はスマホばかり触っているCくんも「未経験者」です。彼らがヨーイドンでプロを目指してプログラミングの勉強を始めた場合、そもそもの知識の土台のレベルがぜんぜん違うので、学習の進度が違ってくるのは自明の理です。このように、一口に「未経験」といってもそのレベルの差が人によってぜんぜん違うのは明らかです。
また「プロ」の意味合いも幅の広い概念です。クリエイティブな仕事の中でも、クラウドソーシングサイトに転がってる単価の安い仕事や、大量に人手が必要な極めて単純な作業がメインの仕事などいろいろありますが、それらも含めて、そんなに稼げない仕事をやっても、お金を稼いでいる以上は「プロ」と呼べます。サラリーマンの平均を遥かに超えるような稼ぎを出せる「プロ」は、その中でもまた別のレベルにあると思ったほうがよくて、そこまで行くには知識やスキルや人脈や運など様々な要素が影響します。多くの人がそれを目指すし、多くの人がそれにはなれていないという現状も自然に理解できるでしょう。
プロから未経験のホニャララ・・・みたいな話が、全くのウソとは言い切れません。しかし、物事の理想といい部分しか着目せず、自分の意志力やポテンシャルみたいなものを過信しすぎるのも危険です。新しい分野にチャレンジすることは素晴らしいことですが、そのチャレンジにはできるだけ「許容できるリスク」を考えてみてください。でなければ、時間もお金も「高い勉強代」を払うことになってしまいます。
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