面白い人の真似をしても話がつまらなくなる理由

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人間相手のコミュニケーションは常にアドリブであって予定調和にはならない

少人数での会話を大きく2パターンに分けると、まず参加者の一部か全員が「会話をコントロールしようとする」パターンと、参加者全員が「何も考えないで喋ってる」パターンがあります。前者は、会社の中や初対面などの仲が浅い人同士、後者は気心知れた友人や家族同士だとするとイメージが湧きやすいと思います(実際はもっといろんなパターンがあります)。

ここで前者のうち、会話がなるべく盛り上がったほうがより有益なコミュニケーションになると多くの人は考えます。だから「会話術」とか「面白い話」みたいなハウツー本や記事や動画が世の中に溢れているのが現状です。

私もそのようなシーンでは、なるべくその場のコミュニケーションが円滑に回るように「コントロールしようとする」立場をとります。もしくはそういった視点で人の喋りを観察しますが、失礼ながら「すべってしまっている」状況もよく見かけます。もちろん、会話において建設的かつ前向きな姿勢は素晴らしいものの、どうしてそのように面白い話をしようとしても、実際は空回ってしまうのでしょうか?

結論としては、会話がその人の頭の中で完結してしまっていることにあります。その人の頭の中で「お面白い話=こういうもの!」みたいに定義付けをして、相手の反応までシミュレートが完了しているけれども、いざ話すとイマイチ・・・という状況になってしまいます。これは往々にして、自分が他の誰か(テレビで見た人とか身近にいる話の上手い人とか)の姿を見て、それを面白いと感じ、それを真似ようとしていることに起因します。こうやって考えてみると分かる通り、自分が面白いとおもうことと、相手が面白いと思うことは、常にイコールになるはずがありません。面白い話をする人というのは、その人の話す内容や話し方だけではなく、受け手の状態やその場の空気など様々な要因があり、それを蔑ろに考えてしまうと、実際に自分が話す場面で空回りしてしまいます。

なので、その対策としては、喋りながら情報を受信し続けることが重要になります。情報とは、相手の言った言葉から、仕草、反応、人以外の状況まで含めたもので、簡潔に言い換えるならば「空気を読む」ということになります。話をする場所や相手や状況によって、どんな喋り方や内容が刺さるかはケースバイケースです。話が上手い人は、そういった機微に敏感で、状況に応じた話題やワードのチョイスが上手で、さらに場数を踏んでいる場合が多いです。よって、話の上手い人を見て、一朝一夕で表層だけをなぞるだけでは不十分だと言えます。

リアルな会話は、台本のある演劇ではありません。常に相手や状況は自分の想定しない(できない)もので、だからこそアドリブが上手い人が会話が上手で面白い人になります。頭がいい人ほど自分の頭で完結させがちだと思うので、こういった視点や頭の柔らかさも大切であることを、心に留めておいていただけたらと思います。

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