音楽だけ勉強してもダメ
演奏がうまくなりたい、いい曲が書きたいと思うのは、初心者から一流のプロまでみんな同じだと思います。私も常にそう思っています。
ただ、音楽の上達や向上を目指す上で、音楽だけ勉強したり練習したりするのでは不十分です。なぜなら、音楽には、それを育てるための土壌が必要で、かつその音楽を人に届けるための目的と手段が不可欠だからです。
そういった理由から、音楽のために学ぶべきことを「言葉」「歴史」「心理」の3つに分けて解説します。
「言葉」
言葉は単に、他人とコミュニケーションするための手段ではありません。なぜなら、自分の頭で考えるときも言葉を使うからです。
音楽は、音という物理現象をコントロールするものです。そのために理論や技術などが体系化されて、効率よくそれらを習得、応用できるように発展してきています。それらを理解するのもまた、非言語による感覚的な部分と同時に、言語によるロジカルな思考が必要だからです。
「歴史」
歴史は、今の自分の立ち位置とこれからを思い描くために必要な学びです。
音楽は時間の芸術です。音楽を創るのも、鑑賞するのも、それぞれ関わる人の時間という人生そのものを差し出さなければいけません。時間という概念と不可分である以上、もっと大きく捉えた時代についての感覚も不可欠です。
もちろん、過去にどんなプロセスを経て音楽が生まれてきたのか、偉大な先人たちや過去の名作に触れるための前提知識としての歴史も非常に大事です。そういった側面も含めて、歴史を学ぶことは音楽の道を進む上で非常に大切なことです。
「心理」
音楽は人が奏で、人が受け取ります。人は機械ではないので、物理現象としての音の善し悪しを判断しません。感覚や心が音楽を創り、音楽を受け取ります。
人間の心理を学ぶためには、必然的に自分の心理を覗かなければいけません。「相手の気持ち」なんていうものは、そもそも絶対に自分にはわかるはずがなく、自分の体験した気持ちや心理を引き合いにだして、それと参照ることによって理解できます。心に届く音楽を創って伝えたいと思うなら、自分の心理について理解を深め、人の心理を理解し寄り添おうとする姿勢が不可欠です。
「心を込めて演奏する」「心を込めて曲を作る」なんていうことは、とても抽象的で非論理的です。しかしそれを否定するならば、徹底的に人が感じる心地よさを数値的に割り出して、計算して音楽を作ればいいという話になります。そういった意味で、私はAI(と、されるもの)が本質的に音楽で人を超えることはないと思っています。逆に、心理をないがしろにして音楽を創るならば、圧倒的な計算能力を持つAIの下位互換を目指すようなものです。
まとめ
音楽の演奏や創作において、音楽自体の知識やスキルを高めるためには、「言葉」「歴史」「心理」も一緒に学んでいく必要があります。初心者から一流のプロまで、すべてのミュージシャンをリスペクトし、私も日々精進していきたいと思っています。
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