「ブレードランナー」ってこんな映画
※当記事は作品内容のネタバレを含みます。
「ブレードランナー」は、1982年公開のアメリカのSF映画です。
2019年の人類は、宇宙進出を果たしたものの、地球は環境破壊で先進的な都市と貧しいスラム街の格差があり、混沌とした情景が広がります。またその時代にはレプリカントという人間そっくりの人造人間が作られ、主に宇宙などの厳しい環境での奴隷労働をさせられていました。
レプリカントは感情さえ芽生えるように作られていますが、人間に逆らえないよう4年という寿命も設定されています。「もっと長生きしたい」と思った一部のレプリカントが、彼らの望みを叶えるため人間に盾突きます。そんなレプリカントを見つけ出して始末するのが、本作の主人公で警察の専任捜査官である、通称「ブレードランナー」ことデッカードという男です。レプリカントたちを追うデッカードが、近未来の世界を舞台に奮闘する姿を描くのがこの映画の内容です。
物語のテーマとポイント
レプリカントという人造人間は、見た目も喋りも感情も人間そっくりで、特殊な検査をしなければ判別できません。人間と同じように生きていて、同じような感情を持つのに、決して人間に逆らうことはできず、短い命で人生を終える存在です。彼らは人間に対して牙を剥きますが、レプリカントが悪者なのか、そんな彼らを作った人間が悪いのか、そもそも人と人でないものの違いはなにか、など、明確に答えのない問いを突きつけられるのが、この物語の大きなテーマとなっています。
またその当時、日本の歌舞伎町を訪れたイギリス人の監督が、その風景に感銘を受けたということで、随所に日本の歓楽街を思わせるネオンや屋台などのシーンが出てきます。空飛ぶ車や人造人間などのSFと、雑多で泥臭い現実的な風景との意図したミスマッチが描き出す世界観は、後の映画やその他多くの創作の世界に大きな影響を与えたと言われています。
個人的な感想
SF映画の金字塔として有名なので観てみましたが、個人的にはあまり満足できる内容ではありませんでした。
一般的に本作品は、その独特な「世界観」や「美術」や「音楽」、そして役者の「演技」が評価の対象と見做されますが、それを差し置いて「脚本」が圧倒的に弱いのが大きなマイナスポイントです。
ただ、公開当初は今から40年前。私が生まれたのがそのもっと後で、SF映画は幼少期に兄と一緒に「ターミネーター2」や「エイリアン2」などの稀代の傑作をビデオテープが擦り切れるまで見たし、SFもののドラマや特撮は溢れかえっていました。青春時代にはアニメーションが進化し爆発的に作品が増え、エヴァが共通言語となった世代です。ブレードランナー的な世界観(退廃的な未来像、例えば「シドニアの騎士」とか)も自分にとって珍しいものではなく、40年前の作品を見てもそれに感動しないのは、ある意味当然のことかもしれません(もちろん、ブレードランナー以降の作品がそれに多大な影響を受けているからでもあるとは思いますが)。
SFの古典としてその点を承知しながら見たとしても、脚本の拙さだけはどうすることもできず、繋がりの薄いシーンの連続や整合性のない主人公の言動などにモヤモヤしながら2時間が過ぎていきました。
ただし、作品の直接的な評価とはなりませんが、「ブレードランナー」が示した革新的なSF映画のおかげで、近年の面白い(と、私が感じる)作品ができていったのであれば、やはりその功績は大きいと言えると思います。
まとめ
1982年に、画期的なSF作品として登場したブレードランナー。根強いファンも多く、4年前には続編の新作も公開されました。SF作品は現在でも数多く生み出され続けていますが、何かとこの作品は引き合いに出されることも多く、それだけインパクトの強いものだったことが伺えます。
公開からおよそ40年経ったいま、初めて見るとその斬新さはあまり体感できず、脚本の粗さが気になってしまいました。しかし、SF作品が好きならば、ざっくりとでも内容を知っておくべきものだというのには納得しています。
ちなみに、岡田斗司夫さんのYouTubeの解説を見ただけでも内容はわかるし、個人的にはこれで十分な気もします。動画では、リアルタイムで観て感動した岡田さんと、40年前に描かれた2019年を実際に過ごしてから観た私とで感じ方に差異があるのが面白かったです。2時間の長尺ですが2倍速再生でながら聴きでも大丈夫だと思います。
私はアマゾンプライムの会員特典で見れました。
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