音色選び
DTMの作業では、様々なソフト音源やサンプル素材(ループ素材)を使って音楽を形作っていきます。
自分の思い描いた曲を作るためには、ドラムやベースやギター、ピアノ、管楽器、弦楽器、シンセサイザーなどの定番の音色はもちろん、効果音やノイズさえ使う音の一部と捉えると、ありとあらゆる音を取り扱うことになります。
そんなDTMで、きっと誰もが経験するのが「理想の音が見つからない」という状態ではないでしょうか。この音源のピアノの音はなんかショボいとか、もっと派手な効果音がほしいとか、そうは言っても音源やサンプルは星の数ほどあって、全部買って試してたら破産するしいつまでたっても曲が完成しません。
結論として、この問題の解決策は「音色選びの考え方」を整理することです。音色選びは2つのアプローチがあり、それは「頭の中の音を探す」方法と「鳴った音で何をするか考える」です。それぞれの特徴を知ることで、音色選びで露頭に迷うことを回避できますので、詳しく解説します。
頭の中の音を探す
まず誰しもやることが、「頭の中でなっている音を探す」方法です。最初に自分がイメージしている音があり、それに合うようなソフト音源のプリセットやサンプル音源を探していく方法になります。音楽制作の大抵の作業はこれで、そのために1本何万円もするプラグイン音源をみなさんガンガン買っていくことになります。

その先の作業は、膨大なプリセットから所望の音を選んでいく作業であり、これもまた骨が折れます。さらに理想の音に近づけるには、ソフト音源のパラメーターをいじったり、エフェクトを加えて散々試行錯誤していくという血の滲む努力の世界が待っています。
これこそまさに、必要ではあるものの、露頭に迷うルートです。「手持ちの音源で自分が見つけられていないのか?」「この微妙な音でも弄ってったら理想の音に近づくのか?」「やっぱりあのお高いプラグイン買っちまった方が手っ取り早いんじゃないか?」そんなことを悶々と悩みながらDAW画面とプラグインセール情報を見比べる時間が過ぎていきます。
この解決方法に近道はありません。予算の許す限り音源は買いまくるしかないし、音色もひたすら探してカンを掴んでいくしかないし、理想通りの音にエディットする技術も磨いていくしかありません。年単位で上達していくものなので、「手っ取り早く理想の音を探す」というのが現実的でないことを、まずは認識することが大切です。
鳴った音で何をするか考える
DTMでの音楽制作において、音色を探すアプローチのもう一つは「なった音から考える」方法になります。これは例えば、ドラムの音色をなにか選んだときに、その質感や余韻などからイメージを膨らませて曲を作っていく、というようなやり方です。自分の出したい音を探すというより、出せる音から作る音楽の方向性を定めていく感じです。これは不自由なように思えますが、案外そうして制約を設けたほうが創作というのはやりやすいのも事実です。このアプローチのようにある種「割り切って」しまうことにより、音色選びに延々と時間と労力を割くことなく、楽曲制作に集中することができます。
まとめ(と、注意点)
DTMの作業において、音色選びはとても大変です。
自分の頭でイメージした音を追求することは大切なことだし、制作において必要な作業でもあります。しかしそれはたくさんの音源のストックと、それらをエディットしていくスキルの蓄積が必要なものになってきます。一方で、手持ちの音源や音色から着想を膨らませて制作していく分には、音色選びという作業に費やす労力をへらすことが出来、本来の目的である制作に注力することができます。
注意点として、これはどちらが優れているというわけではなく、「考え方」を持っておくことが重要です。「探している音が見つからない」のは、手持ちの音源が少ないか、探すスキルが足りないか、エディットするスキルが足りないか、またはそれらが複合的に要因となっているので、すぐに特定して解決できるものではありません。ならばいっそ割り切って、手持ちで鳴らせる音でどうにかする、という発想の転換も時には大事になってきます。
まだまだ巣ごもりの時間は続きそうな気配がします。音楽制作に集中するときに、どうかストレスを貯めずに楽しくクリエティブな時間を過ごしていっていただければ幸いです。
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