リズム系の打ち込みで「手ドラム」をあまりやらない理由

DTM

様々なMIDI打ち込みの方法

DTMで、ドラムやパーカッションなどのMIDI打ち込みをするにはいくつか方法があります。

ピアノロールにマウスでノートを入力していったり、MIDIキーボードでステップ入力したり、リアルタイムレコーディングしたりするのが一般的ですが、このMIDIキーボードでリアルタイムレコーディングすることを通称「手ドラム」といったりします。

具体的なやり方などは他の解説サイトや動画などに譲ってここでは割愛しますが、実は私はそれをあまり活用していません。その理由と、私のリズム系打ち込みの方法をご紹介します。

手ドラムのメリットとデメリット

MIDIキーボードやパッドなどのフィジカルコントローラーでリアルタイムレコーデイングするメリットは、「イメージしたリズムをすぐに再現できる」ことと「グルーヴを再現しやすい」ことの2つが大きいです。頭で思い描いたリズムを、その頭で感じたスピードで入力することができるスピーディーさや、タイミングとベロシティーがイメージしたグルーヴそのままに入力できることは大きなメリットです。

NOVATION ( ノベーション ) / Launchpad X MIDIパッド
NOVATION ( ノベーション ) / Launchpad X MIDIパッド

一方で、手ドラムは「自分の手で叩けるリズム」であることが前提となります。あまりに高速なテンポや複雑なリズムパターンは難しいですし、そもそも鍵盤やパッドの操作に手が慣れていないと、思ったリズムやグルーヴを「演奏する」ことすら困難です。

まとめると、「イメージしたグルーヴを最速で入力できる」ものの、「ただしそれは自分の手で演奏できるものに限る」というのが手ドラムの特徴です。なので、私もそういった場合には使うことがありますが、実際の制作でそのようなシーンがあまり多くないので、実際はあまり使っていません。

効率優先のおすすめな方法

では私の場合、ドラム打ち込みでどのような方法をメインで使うかというと、それは「MIDIパターンの流用」です。

昨今のドラム音源には、大抵その音源に最適化された「MIDIパターン」が内蔵されています。ロックやジャズやボサノバなど様々なジャンルのものが網羅されていて、テンポや拍子、曲のセクションに合わせたパターンが収録されています。私は基本的に、使うドラム音源に内蔵されているMIDIパターンを流用することが多いです。

理由は3つあります。一つは、それぞれのパターンが「作り込まれている」からです。ドラムの打ち込みは奥が深くて、ベロシティやタイミングの細かい設定でグルーヴが大きく変わります。スネアのゴースト・ノートや、ハイハットの開き具合や叩き方(チップ、シャンク)、フラムなど、よりリアルさを追求するにはMIDIノートを作り込む必要があり、これは手ドラム一発で再現することはほぼ不可能です。2つ目の理由は、それらが「音源に最適化されたパターン」だからです。ドラム音源はそれぞれ微妙に楽器の鳴らし方やMIDIノートでの発音の仕方にクセがあります。それぞれの音源付属のパターンはそのクセを最大限に活用した鳴らし方を、開発側の方でプログラムして作っています。なので、最初の状態からめちゃくちゃリアルな演奏をしてくれます。3つ目の理由は、パターンを探すのに慣れれば「作業が早く、再利用しやすい」からです。DTMの作業を早くするメリットは言わずもがなですが、MIDIパターンを探して流用することに慣れるとドラム打ち込みが爆速になります。これは音源によってもコツがあるし、すぐには難しいのですが、手持ちの音源を弄りまくっていると慣れます。

ただし、この方法にも注意点があります。それは、MIDIパターンの流用だけでは「決まったフレージングしかできない」という点です。MIDIパターンは前述の通りクオリティ高く、素早くMIDIフレーズを組むことが可能ですが、それをそのまま使うだけでは、表現が画一化されてしまいます。なので、それぞれのフレーズをシーケンスに落とし込んだあとは、必要に応じてMIDIを作り込むことが大切です。キックやスネアのタイミングを変えるだけでリズムは全く別物になるし、金物は種類を変えることで表情が大きく変わります。フィルも、叩くタイコのタイミングはそのまま順番を変えたり、順番を変えずにタイミングをずらしたりすることによってオリジナルなものになります。このように、イメージとしては「既存のMIDIフレーズをベースに、自分の曲に合ったリズムを作っていく」という感覚です。これで、「クオリティ高く、素早く、自分らしい」という三拍子揃ったドラム打ち込みが出来上がります。

まとめ

リズム系音源、ドラム音源の打ち込みには様々な方法があります。

手ドラムはメジャーな手法ではあるものの、「手で再現できるフレーズ」に限定されるというデメリットがあります。

私がおすすめするのは、音源付属(または市販のものでも)のMIDIフレーズを流用する方法です。

マニピュレーティングはスピード勝負です。インスピレーションを逃さず作業効率を上げる方法を開拓していって、制作ライフを充実させていっていただければ幸いです。

サウンドハウス

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