「やり方」だけならネットに出回っているけど・・・
一昔前はアンダーグラウンドなイメージだった(?)DJも、最近ではデジタルミュージックで手軽に行えるようになり、ちょっとしたホームパーティーなどで使える安いものから、小規模なDJイベントでの使用に耐えうる廉価な本格派モデルまで、機材自体が入手しやすく、かつアニメなどのメディアでも取り上げられるように一般的になっています。そして世界に目を向ければ、「一番稼いでいるミュージシャンはDJ」と呼ばれるほど、フェスのヘッドライナーを務めたりするトップクラスDJの影響力は計り知れません。

DJ機材はやっぱりPioneerだと思います
このように、音楽が大好きでちょっと機材のことを勉強すればすごく簡単にはじめられるDJですが、「DJプレイだけでは物足りない」と思う人もその中にはいるでしょう。自分でミックス音源を作ったりすることも容易ですし、またそこから「いっそ自分で曲を作りたい」と思うことだってあると思います。
では、DJを経験した人が、イチからDTMで作編曲をするにはどうしたらいいのでしょうか?DJ経験者の持っているスキルと、作編曲に必要な要素を比較しながら考えてみたいと思います。
要素1:モチベーション
いきなり精神的な話で恐縮ですが、これは何よりも大事で「自分のイメージした音を再現する」という作編曲の根本の部分がこのモチベーションです。これがないと、ただなんとなく「カッコ良さそう」とか「まわりのDJとの差別化して目立ちたい」とかがモチベーションだと、DJ経験からDTMの作編曲に移行するのは難しいかな、という印象です。
要素2:機材周りのリテラシー
DTMは主にパソコンとソフトウェアを駆使して音楽を制作していきます。PCの操作、PCやデジタルデバイスの基礎知識など、人から教えられないでもある程度できてしまう人が有利です。その点、DJ経験者は普段からデジタルミュージックの扱いやオーディオ機材に慣れているので、DTMを始める上では有利です。
要素3:音楽理論
ここではざっくり「音楽理論」と言いますが、その言葉の意味はもうちょっと広く、いわゆるクラシックの楽典の内容なども然り、ジャズポピュラー関連の一通りの理論も然り、どちらかといえば「歌や楽器を演奏する」ための基礎知識的なことが作編曲では必要になります。ここは何らかの楽器経験がそれなりにあれば難しくないのですが、DJ経験はあるけど楽器などの音楽経験はない、という場合はそれなりに習得のための労力を投下する必要があるでしょう。
もし楽器経験などがない場合、手っ取り早いのが、ピアノやギターなどを練習してみることです。安いキーボードやギターで構わないし、メチャメチャ上手くなって人前で弾く必要とかもないので、「ちょっと触れる」くらいになっておくのがオススメです。音楽理論などについては、全て座学でやるより、そのほうが確実に早く習得できます。
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ちなみに
たまに「音楽理論がなくても作曲できる」派の意見もあります。これは私としては否定はしないものの「極めて再現性が低い」と認識しています。ごく一部、理論的なことを勉強せずに「感性」一本で音楽を表現できてしまうかもしれませんが、「思い通りに音楽を構成する」「判断に悩んだときの根拠がある」という2点において音楽理論的な知識は非常に便利なものです。私も自分の制作を客観視すると、多くの判断を音楽理論をもとに下しているため、仮にそれがなくすべて感性でやるとしたらとても時間がかかり、かつ「気分がのらない」という状態になることが予想できます。(10年ほどやって気づきましたが、作曲に「気分」はものすごく重要です。)
まとめ
DJ経験者がDTMを始めるには、まずモチベーションが大切であること。そして機材の扱いについては有利だけど、音楽理論などについては場合によっては習得が必要であることを解説しました。私は個人的なイベントやアニクラで何回かDJ経験もありますし、音楽制作全般や機材についても長年リサーチしています。なにか質問があればTwitterなどにお寄せください。
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