センスは『磨くもの』

My Voice

「自分には向いてない」と決めつけない

夏になるとよく思い出すのが、学生時代にインターンとして某ゼネコンに2週間ほどお世話になったことです。これまで手がけられたプロジェクト(建物)を案内してもらったり、施工中の新築マンションを見学させてもらったりと、とても貴重な体験ができました。そのときは大学のOBで現役の社員さんの元につき、またその部下の20代の若手の社員さんも一緒に面倒を見てくれました。

右も左も分からないヒヨッコ大学生の私に、本当によくしてくれたことを覚えていますが、その中でも特に感銘を受けた言葉が、「センスは磨くもの」というものです。

これは、インターン内での「建物のデザインをする」というワークで、若手の社員さんに言われた言葉です。私は絵を描くのが苦手なのですが、そのワークで建物の外観のスケッチも自分でするようレクチャーを受けました。そこで「私は絵のセンスが全然なくて・・・」と後ろ向きな気持ちで相談したところ、その「センス」というのは「持っているか持っていないかではなく、自分で磨いて開発していくかが重要」ということを、その一言で端的に伝えられました。

これには衝撃を受けました。私は得意なことと苦手なことがハッキリしていると自覚していて、例えば運動なら長距離走は苦手だけど短距離は得意、とか、バットやラケットを使ったりする競技は苦手だけどコンタクトスポーツは得意、とか、芸術なら音楽は得意だけど絵や彫刻は苦手、などがあります。だから私は、得意、苦手は「センスがあるorない」という表現によって自己認識をしていました。

これも視点をちょっと変えれば、それらの分野では「相対的に得意、苦手が分かれる」だけであって、センスというような絶対的な尺度で測れるものではありません。苦手な絵のセンスだって、勉強して練習を重ねれば今よりもレベルを上げることは可能です。逆に得意だと思っている音楽でも、自分の演奏や曲作りに悩むたびに「もっとセンスがあれば」と思うことは多々あります。これも、今の状態からさらに上を目指すのであれば、勉強して練習して、センスを磨いていくのみです。

私は本日で33歳になりました。ここまで大きな危険もなく生きてこれたことに感謝していますし、出会いや人に恵まれてきたのも幸運だと思っています。人生でこれまで何度となく、そしてこれからもきっと何度も自分と向き合う機会は訪れるでしょう。そのたびに「センスをどう磨いていくか」という考えに立ち返っていきたいと思っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました