因果関係について
ガスコンロは普通、ツマミを回せば火が付きます。
ここで、お鍋で味噌汁を作りたいと思い、お湯を日にかけようとしたところ、ガスコンロの火がつかなかったとします。
なぜか?
その原因を考え対策をとります。
つまみの回し方?あれちょっとコツがいりますよね。スピードを変えたりして何回か回してみます。
そもそもガスが通ってる?ガスの元栓を確認します。必要ならガス会社にも問い合わせをします。
コンロの故障?素人では一見わからないので、メーカーに問い合わせてみます。
と、このように、私達は「つまみを回す > 火がつく」という順序のことだけを知っているわけではありません。ガスが通っていて、コンロが壊れていなくて、ツマミをきちっと回せば火がつくという仕組みを知っているので、もし火がつかないというトラブルにもある程度対応できます。
では別のケースで、「夜に炭水化物を食べたら太る」という説についてはどうでしょうか?
太るのが嫌なら、夜の炭水化物摂取を控えてみることにします。それで痩せる人もいるだろうし、うまく痩せない人もいると思います。これも誰でもわかるように、「太る要因」というのはいろいろあって、「夜に炭水化物を食べる」というのはその一要因でしかなく、他にも運動習慣とか、朝昼の食生活も関係してきます。
次に有名なことわざで、「風が吹けば桶屋が儲かる」を考えてみます。風が吹くことと、桶の需要が増えて桶屋が儲かることには一見なんの関係性もありませんが、そのあいだのストーリーをこじつけるとそれっぽい説明になる、というものです。これも当たり前ですが、桶屋が儲からなかったら、それは風が吹かなかったから、という説明はおかしいですし、桶屋が儲けたいなら風が吹くことを祈ったりはしないはずです。
このように、「原因」と「結果」の関係は、とても簡単に説明できるものと、説明することが難しいものまで、大きな幅があります。ですが、私達はなにか問題に直面して、それを解決したい(火をつけたい、痩せたい、桶を売りたい)と思うと、その「原因」を考えて対策をとります。そのときに、この「原因」と「結果」の関係性の幅を意識していないと、「ダイエットのために夜だけ炭水化物を抜いて、朝昼は普通以上に食べちゃう」とか、「桶を売るために必死にうちわで街を扇いで歩く」みたいな頓珍漢なことをやってしまう恐れがあります。
例えば、大谷翔平選手が活躍するのは、彼が生まれ持った天才だからでしょうか?私達は、今のメジャーリーグでの活躍までのプロセスをどこまで知っているのでしょうか?
例えば、新型コロナの陽性者数が増加するのは、飲食店がお酒を出して夜遅くまで営業していることが原因なんでしょうか?なんたら宣言やなんたら防止を出して、人数が減ったことを「風が吹いたから桶屋が儲かった!」みたいなノリで説明していないでしょうか。
なお、これは余談ですが、そもそも、ガスコンロに火がつくのに、私達の知らない「火の精霊」の力が介在している・・・としたらどうでしょう?つまみをひねる度に、私達には見えない「火の精霊」がいて、一生懸命点火するのを手伝ってくれているという考えです。
こんな妄想は、私のアニメの見過ぎ?
そうかもしれませんが、「火の精霊」が「いない」ということを証明できる人はこの世にいません。事実は、「マジでいない」か、「実際はいるんだけど、人間にはそれを観測できない」のどちらかです。
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