スティーブ・ジョブズの逸話を語る人はスティーブ・ジョブズほど成功していない
自己啓発書やビジネス書、ネット記事やYouTube動画、そして御高説を垂れるそこらへんのオッサンまで、巷ではいろんな人が「成功例」を語ってきます。言うまでもなく、それらをすべて鵜呑みにしていたらお釈迦ポンになってしまうので、私を含めまだまだ人生勉強を続けているという人は、その聞き方に気をつける必要があります。
特によくあるのが、「誰々はこう言う考えでこういう行動を起こした。だからあれだけの偉業を成し遂げた」みたいなパターンです。ポイントは、その話をしている自分のことではなく、有名人の例を上げている点です。
これは確かに、その人の真似をすればその人と同じように成功しそうな雰囲気がします。が、ここで注意していただきたいのは、そんな話は「あくまで一つの成功例」に過ぎなくて、万人に共通する成功方法ではないと言うことです。例えるならば、「全国お菓子グランプリに輝いたあの商品には、なんと砂糖が使われている!だから君も、砂糖を使ってお菓子を作れば、あの商品と同じような美味しいお菓子が作れる!」というのと同じような話です。「あの大成功したグローバル企業の社長は毎朝トイレ掃除を欠かさなかった。だから君も毎朝トイレ掃除をしよう!」みたいな話も似たような雰囲気です。毎朝トイレ掃除をするのは大変素晴らしいことですが、トイレ掃除をすることと大成功する社長になることに直接的な関係性はほぼありません。
このように、誰かがうまくいって、その人の持つ考えや行動は、うまくいったことの「要素の一つ」でしかありません。また、その要素がどれだけ成功に寄与したかどうかも正確に判別するのは難しく、他の膨大な要素(生い立ち、環境、人脈、個性、運など)を全く考慮しないのはとても危険です。
「成功例」を語る人は世の中にたくさんいます。誰かの偉人のエピソードを自慢気に話す人も、また自分の成功例を気持ちよさそうに話す人も、それはそれで一つの意見としてありがたく受け取りつつ、どれだけ結果に寄与したかわからない「要素の一つ」と思って聞いておくスタンスをおすすめします。結局のところ自分だけの答えは、そう簡単には教えてもらったり、落っこちてたりしないので、踏ん張って自分で見つけるしかありません。
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