結果と原因をかんたんに結びつけてはいけない理由

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真の因果関係は誰にも証明できない

「Bという出来事が起こる前に、Aがあった。」

さて、この事実だけで、「Bが起こったのはAが原因だ」と簡単に結論づけることはできるでしょうか?

もちろん、そんな乱暴な考え方は、間違う可能性が非常に高いです。なぜなら、Bという出来事が起こる理由として、A以外の物事を考慮に入れていないからです。また、Aという出来事がBを引き起こす要因だったかどうかも、慎重に考える必要があります。(当然その結果、Aが原因だという結論に至ることもあります)

ちょっと抽象的な説明になってしいまったので、具体例を考えてみます。

どこかのお店で万引が発生しました。万引はお店にとって損害であり、法にふれる行為です。犯人はどこか遠くへ逃げてしまったようで、結局捕まることなく、お店だけが被害を被る結果となりました。

この結果に対して、原因はなんでしょうか?まず確実に言えることは、どこかの誰かが、あるお店の商品を盗んだということです。ではその盗みという行為の原因はどこにあるのでしょうか?お金に困ったから?人に迷惑をかける悪人だから?なにか辛いことがあって、その憂さ晴らしをしたかったから?万引という犯罪をおかすスリルを味わいたかったから?このように、万引き犯が盗みを犯すという行為について、その原因を考えればそれこそ無限に列挙できるでしょう。

では仮に、その万引き犯が、「学生で、学校でとても嫌なことがあって悩んでいた」という事実がわかったとしましょう。この事実をもとに、「では、万引が起きたのは、学生に嫌な思いをさせた学校での出来事が問題だ!」というふうに、原因として結びつけたらどうでしょうか?これは明らかに、「要因である可能性はあるけれども、原因ということはできない」というのがわかるハズです。学校で嫌な思いをする人が全員万引をする、なんてことはあり得ないし、実は家庭環境の方がもっとひどくて、それに悩んでいたということもあるかもしれません。このように、Aという一部分だけを見て、「Bが起きたのはAが原因だ」と決めつけてしまうのは、物事の本質を見誤りかねない、非常に危険な考え方であることがわかります。

では、問題が起きたときに、どうやってその原因を突き止めればいいのか?という疑問が浮かぶと思いますが、こんなことの万能な解決方法があれば人間はもっと進歩しているはずです。原因究明というのは、簡単なものから複雑なものまで、森羅万象その難しさは全く違ってきます。私達がもつべき視点は、それが「原因と結果が簡単に結びつくもの」なのか、「深く考えて検証してみる必要がある」ものなのかどうか、まず切り分けることではないでしょうか。そして、常に100%の正解が得られるという保証もないことに留意しつつ、その時々で考えていく必要があります。白か黒かで判断できるものなんて、この世にはごく僅かです。その間には広大なグラデーションのグレーが広がっています。

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