一つの言葉で複数の意味
音楽は音を扱うものですが、人同士でやり取りする以上、何かしらの言葉を使って表現することが多々あります。これは大したことないように思えるかもしれませんが、実はとても厄介かつ非常に曖昧なものです。
例えば「温かい音」とはなんでしょう?温かいと感じるのは、音色なのか、エンベロープなのか、人によって違います。なので、温かい音を物理現象としての音として明確に定義できる人はいないはずです。
話がちょっとそれましたが、要は音楽で扱う言葉には、いろんな意味が含まれていることが多く、私達が言語でコミュニケーションをとる際には注意しなければいけません。今回は、音楽界隈でよくある(?)紛らわしい言葉について検証してみたいと思います。
(1)テンション
まずは、テンションです。
これは、日常的な使う意味として、気分がよくノリノリな様子を「テンションが高い」、またその逆を「テンションが低い」と言ったりします。
また、物理的な緊張の度合いを指す場合もあり、例えばギターの弦の張り方が強いことを「テンションがかかっている」と言ったりします。
さらに、音楽理論で、コード(和音)に追加する音をテンション・ノートともいいます。「C7に♭Dがついたらそれは♭9のオルタードテンションですね」というような感じです。それぞれの意味を知っておいて、文脈で判断する必要があります。
(2)ベース
次に、ベースという言葉です。
これは、日常的には「土台」という意味で使われることが多いです。「このラーメンのスープは醤油ベースの味付けだね」みたいな使われ方です。音楽でも、「ラテンの雰囲気をベースに」なんて言ったときには、その雰囲気を構成の土台にしている、という意味になります。
一方で、ベースという楽器も存在します。ベース・ギターや、コントラバス(ダブル・ベース)を単にベースと言うことも多いです。編曲で、「ここはベースのアレンジを先に作って・・・」なんて表現するときは、実にややこしいですね。土台となるアレンジ全般のことを言うのか、ベースという楽器のアレンジを作るのか。これも両方の意味があることを知った上で、文脈で判断する必要がありますし、使う側も言葉の使い方に注意が必要です。
(3)フォーム
最後にフォームという言葉です。
これは、一般的には「形」という意味で使われることが多いです。ギターの「コード・フォーム」といえば、ギターの指板上でコードの音の並びになるように弦を抑える指の形のことを指します。
一方、コード進行のことを「フォーム」とも呼びます。「ブルースのフォーム」と言ったら、12小節で一回しの定番のコード進行のことを指します。これらもややこしいので使うとき、聞くとともに注意が必要です。
まとめ
音楽では様々な専門用語が出てきます。
日常で使う言葉と同じで、意味が違うものもあるため、使うとき、人と話すときにはそれらの違いに注意して、くれぐれもコミュニケーションミスがないように気をつけたいところです。
コメント