廊下を走ってはいけません
学校は集団生活を学ぶ場でもあります。そこには様々なルールがあって、先生やお友達同士で注意しあうことにより規律が保たれています。
その中でも特に注意されることが多いものとして、「廊下を走ってはいけない」というルールはダントツの上位に入るものではないでしょうか?多くの人は経験してるだろうし、私も元気いっぱいの小学生のときはつい走ってしまったことがあったように記憶してます。
なぜ廊下を走ってしまう?
とはいえ、私達はみな大人になります。「人に迷惑を掛ける」ことや「自分や誰かに危険が及ぶ」ことを避けるのは当たり前なので、「廊下を走ったらいけない」程度のことは容易に理解できるようになるし、それよりもっと考えなければいけないことが増えていきます。
そこをもっと踏み込んで考えるなら、「なぜ、迷惑かつ危険な行為である廊下走り」をしてしまいたくなるのか、その理由が焦点になるのではないでしょうか。ここからは私の意見です。
まず理由の1つは、廊下が見通しのいい直線だからです。
車を運転するとわかりますが、見通しのいい直線はついついスピードを出してしまいます。目的地への移動は短時間で済むほうが得だと考えるのが普通です。なので、教室と教室を移動する通路となっている廊下は、見通しのいい直線だと、スピードを出して進むほうが「合理的」となるので、走ってしまいたくなります。
2つ目は、障害物がなく走りやすいからです。
もし、学校の廊下がSASUKEみたいな坂や障害物だらけで、一歩間違えれば沼に落下してしまうような構造だったら、よほどのチャレンジャーじゃなければ走って通過しようとは思わないでしょう。というか、走れないでしょう。廊下はものの見事に、きれいな真っ平らで、全力ダッシュするのに最適な構造となっています。
3つ目は、壁と天井で囲まれた狭い空間なので、速度を感じやすいからです。
車や電車から窓の外を眺めると、遠くの景色はゆっくり動き、近くにあるものは素早く動いて見えます。なので、広々とした校庭やグラウンドで走るのと、三面を囲まれた筒状の狭い空間である廊下を走るのとでは、「体感速度」が違います。狭い空間を走ると、自分の速度が視覚的に速く感じられて、高揚感が生まれます。だから、廊下を走ると気持ちいいため、ついつい走ってしまいます。
ルールではなく「仕組み」で対処するなら?
このように、学校の廊下はその構造上、「走ってしまいたくなる場所」と言えます。
ですが、やはり廊下を走るのは危険です。取り返しのつかない怪我や事故をおこすリスクもあります。そのためにルールとして「走らないこと」を徹底するのは一つの有効な手段です。
ただ、他にも手段はないのでしょうか?
例えば、「廊下そのものの構造」を変えたらどうでしょう?車と一般道の場合、住宅街では速度を出させないよう、ハンプ(hump:こぶ)を設置することで対処している場所もあります。これと同じように、廊下もあえて走りにくくするようなものを設置したり、蛇行させて一直線にならないようにするなどの工夫ができれば、そもそも「走りにくい場所」になります。
ただこれに関して、既存の校舎を作り変えるのは容易ではないし、廊下そのものの機能を損ねることも好ましくありません。地震や火事が起きればすみやかに教室から校舎の外へ避難しなければいけませんが、廊下がそのスムーズな移動を妨げるようなことがあっては困ります。こうしたことも踏まえると、より機能的なデザインに求められる要件が出てきて、新しい学校(建物)の形を思い描くヒントが見えてくるように思います。
まとめ
学校で教わるルールの一つに「廊下を走らない」というのがわかりました。
大人になればこんなルールの必要性は誰だってわかりますが、そのためにルールで縛る以外の方法も考えることができます。
普段、何気なく守っている様々なルールも、その必要性と、ルール以外の対処の仕方がないかを検討してみると、それが社会をよりよくする新しいアイデアの元になるかもしれません。
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