現実世界と仮想空間の違いは『情報量』
コロナをきっかけに、リモートワークとかオンラインミーティングみたいなのが急激に普及しました。そもそもインターネットの歴史的にはだいぶ前から今くらいのクオリティでオンライン会話は可能だったのですが、これだけ便利なものもまだ使う側の人間の方が追いついていなかったと言えるのかもしれません。
リモート会議、リモート飲みなどをこの1年間で一気に経験した人も多いと思います。私もたまにラインの音声チャットで友達と飲んだりしていますが、便利さと同時に面倒くささがあることも否めません。リモートが流行り始めてからもちょいちょい言われていたことだと思いますが、改めてその点を整理したいと思います。
画面越しの会話において、実際に対面するときとの大きな違いは、「視界」と「音」です。
画面越しにみる相手は、画面サイズ内の平面の情報しかありません。ですが実際は、自分がフォーカスしてみている周りにも多くのものが目に入ります。相手の顔を見て喋っていても、ちょっとした体の動きとかが目の端に入れば、その仕草でも情報として取り入れることになります。そういった意味で、「視界」の情報量は現実のものよりかなり少なくなってしまいます。
またリモートでは、それぞれの参加者の声を一旦マイクで拾って、デジタル処理をしたあとに、各参加者に届く仕組みになります。音はデジタル処理をすることによって多くの情報を失います。また、各参加者の音を一つに集めて出力される音(参加者が聞く音)は、削ぎ落とされた音の情報がさらに圧縮されて届くことになります。実際にやってみるとわかりますが、複数の人が同時に喋るとわけわかんないことになってしまいます。なので、基本的に誰か一人が喋り、他の人達は黙って聞く。このターン制での会話ということになります。これって実際にはかなり面倒くさく、会話の呼吸が実際のものとは大きく異なってしまいます。実際の会話というより、むしろ文字だけのチャットに近いコミュニケーションとも言えるかもしれません。(ただしチャットはログが残ったり、スレッドを作れたりするので、その非同期なシステムのほうがより密度のこいコミュニケーションができる、という側面があります。)
ちなみに、「におい」を共有しないのは、リモートでのメリットの大きい要因の一つかもしれません。ほら、どうしても脂っこい料理の店とか行くと、服にニオイが移るじゃないですか。タバコも好き嫌いが分かれるので、喫煙者と非喫煙者で文字通り完璧に分煙できるのも、リモートならではと言えるでしょう。
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