作曲と編曲
作曲とはなにか、そして編曲との違いは何か、という話は、わりと一言で説明できない問題になってきています。
と言うのも、そもそもは「作曲=メロディーを作ること」、「編曲=コードやリズムを考えてメロディーも含めた楽器、音色、伴奏などを決めていくこと」というのが定義としてあります。がしかし、現在では、メロディーだけ作ってもそれを作曲と呼ぶことは少なく、アレンジ(編曲)まで含めて”作曲”と便宜上言ってしまうことが多いからです。
つまり、本来の作曲と編曲という言葉の意味から離れて、実際にはそれらの区別がつきにくく使われているという現状があります。
最近ではDTMの認知度があがって、ユーザー層が広がっているという話も聞きます。DTMを扱うならば、もとの定義でいう作曲と編曲は必ずセットでやることになります。なので、メロディーを考えると同時に、様々な楽器の音を並べて曲として仕上げる編曲の技術も必要になってきます。
編曲の勉強になる本
ここからは、そんな編曲の勉強となるおすすめの本をご紹介します。なお、対象ジャンルは一般的なポップスとしますので、クラシックやジャズをはじめ、専門性が高いものは別と考えてもらえれば幸いです。(なお、今回ご紹介するのは初心者向けではありませんので、DTMにある程度なれた人が、さらなるレベルアップを目指す際のオススメとなります)
バンドアンサンブル全体を学ぶ
まずは、バンドアンサンブル全体を網羅的に学べる本として、「MIDI打ち込みでバンド・アンサンブルを作る本」をおすすめします。これは様々なジャンルの10曲以上のデモソングについて、すべてのパートのMIDI打ち込みの内容とその解説が載っています。ジャンルごとのアンサンブルの作り方や、楽器別の打ち込みの方法を網羅的に学ぶのに最適です。
なお、解説はCubaseをベースにされていますが、すべてのDAWでも対応できるようにはなっています。ただし、使用するプラグインなどをそっくりそのまま使ったほうが、サンプルをそのまま再現できるので、Cubaseの上位バージョンを使って学習をすることをおすすめします。

STEINBERG ( スタインバーグ ) / Cubase Pro 10.5 DAWソフトウェア
キーボードバッキングからパターンを学ぶ
俗に「上モノ」と呼ばれる、ギターやピアノ、その他鍵盤楽器については、自分が扱ったことのない楽器だと、編曲してシーケンスを作るのは難しく感じると思います。そこでおすすめなのが、「キーボードバッキングのアイデア”即戦力”138」です。様々なジャンルと、それに合わせた音色(キーボードで出せる楽器の音)でのフレーズが多く掲載されている本で、キーボード奏者だけではなく、打ち込みで編曲をする場合にも役に立ちます。
使い方としては、譜面と音源を聴いてそれを参考にシーケンスを作るのもアリですが、ぜひ自分で鍵盤(キーボード)を演奏して覚えるのをオススメします。鍵盤になれていなければ、難しいフレーズを弾くのは大変ですが、ゆっくりなテンポでも少し自分で弾いてみると、より打ち込みのフレーズ作りのリアリティ向上にもつながるでしょう。
ミックス・マスタリングから最終形をイメージする
DTMで作編曲をやる以上、最終的には人に聞かせるために音を仕上げなければいけません。その工程が「ミックスとマスタリング」です。これは「作編曲」とは別の工程ではあるものの、DTMユーザーならば一人でこれをこなすケースも多くなります。そのためにおすすめな本が、「DAWミックス/マスタリング基礎大全」です。
この本のメインの目的は、「DTMのミックス、マスタリングスキルの向上」です。ただ、それだけに留まらず、これは「アレンジの勉強」にもつながる書籍だと言えます。内容は、フルアレンジされた1コーラスの楽曲について、各楽器のサウンドメイキングと、ミキシング、マスタリングについてのやり方を解説する内容となっています。その過程で、各トラックが最終的に2mixになったときにどのような役割をするのか、曲全体から見た各パートのアレンジを勉強できるのも、この本を利用することで得られるスキルです。使用しているプラグインはどれもサードパーティ製で、買うと高価なものばかり(無料での試用期間があるものが多いですが)なので、書籍の内容と同じ操作を行うのがそもそも結構難しかったりしますが、一冊通して実践すると、作曲からマスタリングまで、楽曲制作全体の工程を俯瞰してみることができるようになります。
まとめ
DTMユーザーにとって、作曲と編曲、さらにミキシングやマスタリングなどのエンジニアリング含めて、やれること(やるべきこと)の境界線が曖昧になっています。どれも別個のスキルとして習得すべき場合と、複合的なスキルとして習得すべき場合があるので、学習する際は「今自分が何の目的で何に取り組んでいるか」を意識するとよいでしょう。
ちなみに、今回ご紹介した書籍のうち2冊は、月額980円で対象の電子書籍が読み放題になるKindle unlimitedでも読めます。単体で買ったらどれも1,000円では済まないので、単月で見たら圧倒的にお得です。GWにDTMのスキルアップを目指すなら、ぜひ検討してみてください。
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