ギターってバンドに必要なの?
バンドをやっている人間の肌感覚的に、ギタリスト人口は他の楽器に比べて圧倒的に多いように感じます(ボーカルは除いて)。ドラム、パーカッション、ベース、キーボード、またはバンドに入る管弦の人は、ギターを弾く人に比べてそう多いわけではありません。ところが、バンドにおけるギターの役割って、実はそこまで重要ではなかったりもします。
そもそも、ロックやポップスのバンドではギターが目立っていることが多いですが、ジャズバンドではギターが入る編成がそれほど多いわけではありません。最もベーシックなのがピアノトリオ(ドラムス、ベース、ピアノ)で、その他管楽器が入ったりボーカルが入ったりビブラフォンが入ったりと、多種多様です。
音楽の成り立ちを考える上で、リズム、メロディー、ハーモニーは三要素と言われるくらい重要です。ドラムスはリズムを作り、ボーカルやリード楽器がメロディーを作り、ベースはリズムとハーモニーの土台を作ります。音楽はまずここが基本となって、さらに他の楽器で肉付けをしていくように出来ています。
一般的なロックやポップスのバンドでは、ギターは肉付けや飾りの役割です。ドラムが作ったリズムにのせて、ベースが作ったハーモニーの土台の上に、ボーカルのメロディーをより魅力的に聞かせるため、ハーモニーを強化したり曲の色付けをしたりするのがギターです。そう考えると、ギターがやっていることは、キーボードや他の楽器でも代用がきくことになり、ギターがそこまで重要じゃないと言えてしまいます。
ただし、例外が大きく分けて二種類あります。まずギターの音そのものが、バンドや音楽の雰囲気を作る上で決定的な要素である場合です。例えばヘヴィーメタルは、深く歪ませたギターの音がないとあの雰囲気は出ないでしょう。昔のロックンロールやその派生的なジャンルの音楽も、エレキギターのリフが欠かせない特徴となっています。このように、ジャンルによってはギターの音色がなければ成立しない場合もあります。もう一つは、少ない編成のアンサンブルです。この場合、ギターがリズム、メロディー、ハーモニーのどれを担う可能性もあります。アコギの弾き語りは、自分の歌がメロディーで、あとのリズムとハーモニーは全てギターが担います。ギターインストならばメロディーを担うのはギターです。三要素を担う楽器が他にないのであれば、ギターがその役目を果たすケースもあるということになります。
ギターはとても多彩な楽器です。バンドの中で控えめな役割をすることもできれば、表に出て目立つ演奏をすることもできます。楽器一つでアンサンブルを作ることもできます。演奏する音楽に合わせて、その都度その都度、曲にあった適切な演奏をすることが、本当の意味でギターのポテンシャルを引き出すことである、と言えるでしょう。
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