今やっていることを抽象的に考える
私は小中高大で計11年間ラグビーをやっていました。スポーツマンとしての青春時代を過ごして、今はミュージシャンです。スポーツも音楽にも共通することとして、練習をする時と実践をする時が別々にある、という考え方ができます。ラグビーよりも野球で喩えた方がわかりやすいと思うので、「素振り、筋トレ、バッターボックス」を例に見てみましょう(ちなみに私はプロ野球ファンですが、プレーは全然できないので、のんびり練習中です。バッティングセンターいきたいなぁ)。
野球で、打者として結果を残すということは、試合でヒットを打ったりホームランを打ったりすることです(厳密にはもっと色々な働きがありますが、ここでは割愛)。そのためにはまず、バッターボックスに立たなければいけません。打者として試合でピッチャーに対峙し、投げてくるボールに対してバットを振ることによって、それがヒットやホームランという結果に繋がります。でも毎回毎回、ヒットが打てるほど勝負の世界は甘くありません。野球の世界では3割打てれば良い打者です。打席でバットを振ったとしても、結果が出ない方が多い、ということになります。少しでもその結果をよくしたい、打率をあげたいと思うからこそ、試合を想定して素振りをしたりします。ボールを飛ばすためには技術だけではなく、筋力も必要なので、基礎トレとして筋トレもします。このように、素振りや筋トレで準備をし、バッターボックスに立ってようやく結果を出すための挑戦権が得られるようになります。
ミュージシャンも基本的には似たような部分があります。人前で演奏し、聴いてもらえる人に『何か』を伝えることが私たちの為すべきことです。そのために、日々、演奏や表現を磨き続けます。人前に立つことを意識して身なりを整えたり、生活を整えたりすることもその土台です。そして、本番を迎えます。自分の部屋に籠もって延々と演奏するだけでは、いつまでも人に『何か』を伝えることができません。人前に立って演奏をすることで、その挑戦権が得られると言っていいでしょう。でも必ずしも自分の演奏がお客さんに届くとは限りません。それが実力なのか、趣味嗜好の違いなのかは一概に言えませんが、自身の表現を磨くことで、その確率をあげられるようにしていくのが、ミュージシャンとしてのスタンスになります。
失敗することを恐れてバッターボックスに立たなければ、そもそも結果は出ません。一方でバッターボックスに立ち続けても、日々の素振りや筋トレを怠れば、満足いく結果に繋げるのは難しいでしょう。忙しい毎日を過ごしていると、あれやこれやと考え、自分の今やっていることの本質が見えにくくなります。今回は野球を例にしましたが、こうやって抽象的に考えることで、自分の目指すことと今やるべきことが明確に繋がると、今生きているどの瞬間も、もっと有意義に感じれるようになっていきます。
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