編曲の常套手段
曲の中での転調は、作編曲家にとって醍醐味であると共に腕の見せ所でもあります。
その中でも、ポップスでよく使われる手法の一つに、「ラスサビ転調」があります。
曲の最後のサビ(大サビ)で、これまでの調からいきなり半音や全音キーを上げてしまうやり方です。結構いろんな曲で使われていますが、私が一曲挙げるとしたら、かつてドラマと共に大ヒットした「青春アミーゴ」でしょう。
ちなみに、転調についての解説記事も合わせてご覧ください。
ラスサビ転調を使うリスクとは?
とっても簡単にインパクトを付けられるラスサビ転調ですが、作曲や編曲で安易に使うと、ちょっと残念な結果になってしまいます・・・。そのポイントを確認してみましょう。
飽きられてる
この手法はとてもたくさんの楽曲で使われています。安易に使うと、「またこれか・・・」となってしまいます。「またこれか・・・でも、この曲にはマッチしてて、すごく盛り上がるね!」という感じの上手い使い所を探すべきでしょう。ある意味、上級テクニックと言えるかもしれません。
ボーカルの音域を上げてしまう
歌モノの作曲や編曲をする上で、ボーカルが歌う音域は特に神経を使う部分です。トップノートが半音上がるだけで、ボーカルさん的には歌えるか歌えないかのギリギリだったりします。当然のことながら、転調で半音や全音分だけキーを上げてしまうと、これまでサビでボーカルのトップノートに合わせて作られたメロディだったら、その上に音域が上がってしまい、ボーカルが歌えな口なってしまう危険性もあります。ボーカルやメインメロディを無視した使い方は避けるべきでしょう。
二回目に聴く時の印象を変える
ラスサビでの転調は、それまでの1番サビ、2番サビとはガラッとイメージを変える効果があります。
それはすなわち、ラスサビのイメージを持ったままもう一度頭から聴くと、サビの印象が違って聞こえることに繋がります。
これの危険性は、二回目に聞いたときに、キーが上がったラスサビの印象と比較して、「サビであんまり盛り上がらない」と感じてしまう可能性があることです。
ラスサビ転調を曲で使うときは、それまでの1番、2番のサビと聴き比べて、違和感の無いようにうまくアレンジする必要があります。
まとめ
作編曲者にとって、シンプルでインパクトのある「ラスサビ転調」はとっても使いやすいテクニックです。一方で、
- 使い古されてる
- ボーカルの音域を上げてしまう
- 二回目に聴く時の印象を変えてしまう
というリスクもあります。
つまり、簡単な反面、使い所も難しい”上級テクニック”とも言えるでしょう。
ぜひ、様々な楽曲を聴いて、さらに実際に作ってみて、効果的な使い方を研究していってください!
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