現代人 v.s. 古代人
私たち現代人は、狩猟採集をしていた古代人と比較して遥かに豊かな生活をしています。
しかし根本的な仕組み、特に脳の仕組みはそれほど変わっていないそうです。
餓死する危険がほとんどない現代人でも、古代人にとって合理的な仕組みになっている脳味噌のまま生きています。すると、色々と不都合なことが生じます。
そんな、古代からさほど変わらない「人間の性質」とは、一体何でしょうか?それを知っておくと、私たちが今の時代にそぐわない行動をせずに済むようになるので、是非とも知っておいた方が良さそうです。
人間のそもそもの性質
学問が発達せず、大自然の中で狩猟採集をして種を存続させてきた古代の人類が持っていた特徴とは、一体何なのでしょうか?
二種類の脳が存在する
私たちの脳味噌は、古い脳と新しい脳に分けることができます。
頭の中心部分にあるのが、古い脳です。これは動物的な脳で、食欲など人間が生き延びて種を存続させるための本能的な指令を出す部分です。
それに対し、頭の外側部分にあるのが新しい脳です。これは人間に特有の脳で、言語を使って物事を考えたり、感情を生み出したりする脳です。
ファスト&スローという本でも述べられているように、私たちはこの二種類の脳がケースバイケースで働いて、意思決定をしています。
簡単に説明すると、私たちは日々膨大な選択と意思決定をしているけど、そのほとんどが「古い脳味噌で直感的に」行われていることであって、動物的な本能に従っている、ということです。
これを知っておくと、「なんでこんなことをしてしまうんだろう?」という自分の行動に説明をつけることができます。やらなきゃいけないことを先延ばしにしたり、ダイエットしたいのに食べすぎたり、自分にとって不都合な自分の意思決定の理由を知ることができれば、その対策も考えやすくなります。
不安になりやすい
私たちの脳は不安になりやすい性質を持っています。また損失回避の傾向があり、リスクを避けて安全な選択をしがちなようにできています。
そうすると、危険なことには敏感なようにできています。世間のニュースでは、幸せハッピーな内容よりも、人々の不安を煽る内容の方が注目を集めるそうです。
私たちは、こうして「不安な情報に意識が向きがちである」ということを知っておくと、余計に不安になることが少なく済みます。
現状維持を好む
昔の人々に取って、新しいもの=リスクでした。今のままでいること=生存する確率が高い、ということがDNAレベルで私たちの脳には刻まれています。
「ホメオスタシス効果」としても知られる、この現状維持の性質は、古代の人にとっては生存に有益でした。しかし現代では、現状維持を続けることは自己成長の妨げになり、世の中の変化に対応できなくなるリスクが大きくなります。
何か新しいことに挑戦したいと思ったり、自分を変えたいと思った時には、こうした「現状維持を好んでしまう」人間としての性質を理解しておく必要があります。
承認欲求が必ずある
人間は、他の動物たちに比べて圧倒的に身体能力が低いです。それでも生存するために、仲間とコミュニケーションをとり、集団で行動し、お互い助け合って厳しい環境を生き抜く必要がありました。
なので、社会性をとても大事にします。集団から外れることは、即ち生存できないリスクを大きく増やすことにつながります。
多くの他者に自分が認められると、安心します。本能的には、その集団での生存の確率を高めてくれることとして、承認を求めます。
一方で、他者の承認が基準になると、「他者が望む自分像」を追いかけることになっていきます。自分の自由に、自分のやりたいことをやろうとする場合、これはコンフリクトする概念です。他人の人生を生きるか、自分の人生を生きるか、それはこの承認欲求との向き合い方によって決まるとも言えます。
まとめ
私たち人間は、地球上の歴史において、物凄い勢いで自分たちの環境を変えてきました。
一方で、古代において生存するために必要で合った習性を今でも保持しています。
まず、動物的な脳と人間的な脳の二つで意思決定をすること。それと不安になりやすいこと。現状維持を好むこと。承認欲求を持っていることです。
ところが現代では、人間にとって死のリスクは極端に減りました。食料は安定して供給され、公衆衛生は向上し、法律によって他者から傷つけられたり収奪されることの抑止力が働いています。
状況が変わったのに、いまだに働いている「人間の性質」は、古代仕様のものがまだ多いです。それを知っておくと、今やるべき考え方や行動を、いい方向に調整することができます。
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