『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』が「ソロアイドル」である時代的背景

ラブライブ!

はじめに

改めまして、私わーさーは、2014年「ラブライブ!」第二期放映時にラブライブにどハマりして以来、ほぼ人生をラブライブに捧げてきました。

Aqours5thまでは、ほぼ現地のライブに参戦しグッズやら映像作品やらめちゃめちゃ買ってました。

現在(2020年11月)は、シリーズ第3作の「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」のアニメが放映中です。この第3作について、私はほぼ、アニメが初見です。(アニメ放映前の活動やゲームでのストーリーなどをみていません)

放映中のアニメをみて、現時点で感じたことを書いてみます。

ソロアイドルがテーマ

これまで、ラブライブシリーズは基本的に9人のメンバーがグループとして活動し、ユニットやソロの歌唱はあっても、グループ単位がメインでした。

一方、虹ヶ咲は「ソロアイドル」が主軸です。基本的には「同好会」に所属するメンバーの一人一人のライブがテーマとなっています。これまでは、グループの中で3人ずつのユニットに別れたり、デュオ、トリオ、ソロなどでの楽曲もバリエーションとして存在はしましたが、ソロがメインとなっているのは初の試みです。

初代μ’sから見ていたら、「9人の絆」が共通のテーマだっただけに、これには少し驚きます。賛否両論分かれそうなこの展開には、一体どんな意味があるのでしょうか。

私たちに『個の時代』をどう生きるかを問うている

「人間は自由の刑に処せられている」

とは、20世紀初頭を生きた著名な哲学者サルトルの言葉です。世界的に資本主義経済が台頭し始めた頃、「自由に生き、自由に競争する」ことが人間の倫理観として正しいという価値観が広がりました。今では多くの人が当たり前に思っているこの思想も、中世までの一般の人々にはメジャーではありませんでした。

自由=何をしてもいい、ということは、すなわち、何をしても結果はその人の責任ということになります。これは人の尊厳を尊重しているような雰囲気を持つ反面、私たちにとても過酷な条件を突きつけています。

なぜならば、その自由は、生まれた段階である程度の制約があるからです。私たちは基本的に(仮に自分という存在が唯一無二の固有のものであれば)、生まれてくる場所を選べません。先進国の資産家の家に生まれて、ある程度望むものがなんでも手に入るような自由な人生が最初から与えられている場合もあれば、途上国の貧困地域に生まれて、限りなく少ない選択肢から選びとる自由もあります。

幸い、日本は世界を見渡してもとても恵まれている国です。国内では格差がありますが、総じてかなりの自由を保証されています。ただし、これからの時代はそう楽観視できるものでもなさそうです。

もはや「組織」が「個人」を守ってはくれない

高度成長から昭和の時代までの多くの日本人の共通認識であった「終身雇用」が崩壊しつつあるのは周知の事実です。

「インフルエンサー」と呼ばれる人たちに象徴されるように、個人が発信力や影響力をもち、人々に選ばれるのが当たり前になっています。何かスキルがあったり、人の共感を集めたりできる人が世の中に価値を生み出し、そうでなければ個人は相対的な価値を失っていきます。

「個人でどれだけの価値を生み出せるか」

が、これからの時代に間違いなく重要になるファクターです。ただし、組織がなくなるわけではなく、個人ではボリューム的に達成不可能な目標を遂げるため、「価値を生み出せる個人」が、プロジェクトごとに集合と離散を繰り返すような、とても流動的な組織が主流となっていくでしょう。

まさに、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会はそのモデルだと思います。彼女たちはもちろん、同じ学校に通うという共通の「タグ」を持ちながら、基本的には個人個人が魅力を発揮し、ファンに価値を生み出すことをテーマとしています。

そんな彼女たちが、これからさらに「個の力」を高めていけば、「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」という一見グループなのかなんなのかよくわからない(?)団体も、「個人で十分に力を持つスクールアイドルのスター集団」になるポテンシャルを秘めています。

まとめ

これまでのラブライブ!とは明らかに違う、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会。

μ’sと同じことをやっても、Aqoursと同じことをやっても意味がありません。

「ラブライブ!」の名を冠して活動するからには、背負わざるを得ない宿命がそこにはあると思います。

だからこそ、これまでのシリーズのファンからしたら異様にも思えるこのスタイルは、偉大な挑戦なのかもしれません。

アニメでも描かれている、個人個人の、「一人で大丈夫かな・・・」という葛藤は必ずあると思います。それを乗り越えた先に、面白い未来が待っていそうです。

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