間違って使われることの多い言葉
「転調」とは、音楽の用語で、曲の途中で調「キー」を変えることを指します。
暗い感じの雰囲気の曲が、途中で一転して明るい感じの雰囲気になったりするのが、転調という手法です。
よくある間違いが、曲の途中でテンポが変わることを「転調」と言ってしまうことです。これは転調ではありません。ただしキーが変わって、テンポも変わる場合もあります。この場合は、
「転調して、テンポが変わった」
という表現になります。
なぜ間違われるのか?
まず、転調という言葉の持つイメージに注目してみます。
「曲の途中で、ガラッと雰囲気が変わる」
と、聞いてる側は「おやっ?」という感覚を覚えます。(曲の作り手はそれを意識して意図的に転調したり、テンポを変えたりします)
この、ガラッと雰囲気が変わることを、【転調】という言葉のイメージに結び付けてしまうんだと思います。なので、その手段である「調を変えること」「テンポを変えること」をひっくるめて【転調】と呼んでしまうんだと思います。
さらに厄介なのが、この誤用が半ば市民権(?)を得ていることです。
一昔前、ゴールデンタイムのバラエティー番組で、音楽素人の某芸能人がオリジナル曲を作り、それをプロの編曲家が仕上げてアーティストデビュー、なんていう企画をやっていました。某芸能人が割とフリーダムに(はちゃめちゃな)曲を作ったのを、プロの編曲家がちゃんとそれっぽい曲に仕上げて「さすが、プロってすごいな!!」ってなるのですが、問題は番組の構成です。
そのはちゃめちゃな曲は、途中で一気にテンポが変わったり平気でするのですが、それをひっくるめてテロップでデカデカと
「いきなり転調!!??」
とか出すもんだから、一般の視聴者からはそういう現象を【転調】だと認識してしまうのも無理はありません。
まとめ
転調とは、曲の途中で調(キー)が変わることです。
テンポが変わることを転調とは言いません。
音楽を専門にやる人にとっては常識ですが、そういう人たちとやり取りする際に、「誤解や意味の取り違え」が起こらないよう、正しい理解が広まればと思っています。
【あわせて読みたい】
【本日のオススメ本】
小室哲哉インタビューズ Tetsuya Komuro Interviews Complete from 1984 to 2014
コメント