TAB譜があれば何でも弾けるのがギター?
以前、こんな記事でTAB譜だけに頼る危険性をご説明しました。
TAB譜は、とてもシンプルでわかりやすいです。
どんな曲でも、一応TAB譜さえあれば、独学でもそれなりに弾けそうな気もします。
しかし、それはギターの譜読みを理解していないことからくる誤解です。
TAB譜だけに頼る危険性と、ギターの譜読みのポイントを解説します。
TAB譜だけ追いかけていることの危険性
TAB譜はわかりやすい表記です。
しかし、ギターの演奏を指示する物としては、実はかなり不十分な譜面であるとも言えます。
次に挙げるような、ギターの譜読みのポイントを知った上でTAB譜をみると、そこに書かれていない情報まで読み解いて、演奏を再現することができます。
逆に、そのポイントを知らないと、「TAB譜どおりに弾いてるのに、なんか合わないな・・・」という状態になってしまいます。ギターを思うように弾けず、そこから上達できる見込みも薄いので、次項のギターの譜読みについての知識を仕入れ、TAB譜を読む以外のスキルも上げていかなければいけないことを心得ておく必要があります。
ギターの譜読みの3要素
頭(知識)
ギターの譜面は五線譜とTAB譜でそれぞれ記載されている場合が多いです。
それぞれがどう対応しているかを、頭(知識)として把握しておくことがとても重要です。
例えば、五線譜(ト音記号)にC(ド)の音が書いてあったとします。これをギターで弾く場合、3弦5フレットがその音に対応します。しかしギターには異弦同音があり、同じ音程を2弦1フレットでも、4弦10フレットでも、5弦15フレットでも弾くことができます。
このように、五線譜上での特定の音は、ギターでは複数の弾き方(指板の押さえ方)の可能性があることが前提となっていて、どの場所で弾くかと言う選択をすることになります。TAB譜は予めその選択を、TABに起こした人がしているので、グッドな弾く場所の選択もあれば、ノーグッドな選択もあります。
耳(音の把握)
五線譜で表された音の並びを、仮にグッドな弾く場所の選択をしたTAB譜があったとします。
それを順番に鳴らしていくことで、ギターの演奏は成立するでしょうか?(いや、そうではありません)
ギターを触ったことがある方はわかると思いますが、片方の手で弦を押さえて、片方の手ではじいて音を出す、と言うのは結構難しい動作です。そして、弦の押さえ方や、はじき方次第で、ギターの音は多彩に変化します。
ギター特有のアーティキュレーションとして、グリスやスライド、プリング・オフ、ハンマリング・オン、チョーキングなど、TABに記載されているものもあります。しかしそれだけに止まらず、多彩なギターの音の鳴らし方は、自分の耳で判断し、それが再現できるかどうかを自分の耳で確かめなければいけません。
五線譜やTABを目で追い、そのまま弾くだけでは不十分であると言えます。
指(動作)
五線譜やTAB譜が読めて、耳でもギターの音が判別できたとします。
最後に必要な要素が、自分の指や手の動作です。
指板を押さえる指は、どの順番で運指をするべきでしょうか。ピッキングはダウンか、アップか、オルタネイトか、エコノミーか。それら全ての動きをTAB譜で指定してあることは稀です。
ギタリストの譜読みにとって、頭で理解しているギターの音を再現するためには、どのような動作をすればその音が出せるのかを、知っていて、経験していて、実際に動かせることが必要になってきます。これはある程度パターン化することはできますが、細かい部分では奏者の手の大きさや身体的特徴、使うギターの特徴など様々な要素によって異なります。独学で、誰からも指導や指摘を受けず、この部分を鍛錬していくことが難しい、と言うことを理解しておくべきでしょう。
まとめ
ギターは始める敷居の低い楽器です。
そしてTAB譜はとても便利な楽譜で、それを追っていけばそれなりにギター演奏ができてしまいます。
しかし、ギターの演奏においては、TAB譜に載せられない重要な要素がたくさんあります。
ギターを自由に演奏して楽しみたいと思ったら、ぜひ、TAB譜以外の様々なギターのスキルを一緒に身に付けて言ってください。それが遠回りなようで、上達への近道になります。
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