DTMで曲を作る
パソコンやインターネットが急速に普及して、機材の価格が下がり、今は誰もが気軽にコンピューターで音楽を作れる時代になりました。
また、情報も多く出回るようになり、書籍やネット記事やYouTubeの解説動画、そして各種スクールやレッスンやセミナーも、DTMで個人が音楽を作る方法を広めています。
ですが、一口にDTMで曲を作ると言っても、そこには多くの工程があります。
その前提を知らずにDTMをやっていると、うまく行かないことがあって挫折したり、不要な努力を重ねて時間を浪費してしまいかねません。
今回は、DTMで曲を作るとき、各工程でどのような役割が必要かを解説します。これを正しく理解しておかないと、DTM関連の知識を学んで曲を作る時に、とても効率の悪い方法をとってしまい、時間とお金を損する危険性が高いので、初心者の方はもちろん、中級以上の方も今一度確認していただきたい内容です。
そして、個人クリエイターが一人で作業を完結する場合は、その全ての役割を一人でこなさなければいけません。分業したり、コライトする時には、全員がその役割を正しく認識していないと、うまくチームワークが取れません。
楽曲制作の役割分担
ここで解説するのは、一般的なJ-Popなどのいわゆる『歌モノ』の楽曲を制作する時の役割分担です。
創作
作詞
歌詞を作ります。日本語だったり、英語だったり、その他外国語を使ったりします。意味のある言葉以外にも、アーとかウーとか、そう言ったのも広義の歌詞に含みます。音楽的な知識はなくてもできますが、かと言って誰でも簡単に作れるような甘いモノではなく、非常に高度な技術が試されます。
作曲
厳密には、作曲とはメロディーのみを指しますが、一般的な解釈としてはコード進行やリズム、構成などを含めて作曲と捉えられることが多いです。それらは編曲のカテゴリに含まれますが、近年ではそのあたりがかなりクロスオーバーしていて、ケースバイケースと言えます。
編曲
厳密には、メロディー以外の音楽的な構成を指します。コード進行やリズム、楽曲構成から、各楽器それぞれの演奏内容やハーモニーまで、音楽を形作る大部分を占めます。前述の通り、その重要性から近年では作曲とクロスオーバーする範疇となっており、ほぼ同義と捉えられることもある、とう印象を私は持っています。
実演
歌唱・演奏
実際に歌を歌ったり、各楽器を演奏したりする部分です。
サウンド・プログラミング
演奏をコンピュータ上で再現することを指します。コンピューターで音を再現することができなかった頃は、演奏家が全て演奏し、録音することで楽曲を作ることが当たり前でした。でも近年では、実際の演奏と聞き分けるのが難しいほど、高い品質の演奏再現がコンピュータで可能となり、それをプログラムでやってしまうことが多いです。ちなみにボーカロイドなども、歌唱の部分をサウンド・プログラミングが代替している、と解釈できます。
エンジニアリング
レコーディング
演奏家が演奏した音を録音する作業を指します。どんなマイクや機械を使って、どのように録るのか、レコーディングのエンジニアによって、同じ演奏でも収録できる音が違ってきます。演奏家の良い演奏を引き出すのも、レコーディングエンジニアとしての技術の一部です。
ミキシング
楽曲は、歌やギターやドラムなど、様々な音が混ざり合って完成します。それぞれの音をどのように混ぜる(ミキシング)かによって、最終的に出来上がる曲が大きく変わります。これは作曲や演奏とはまた別の、専門的な知識と技術が必要な領域です。
マスタリング
最終的に出来上がった音に対して、どのようにリスナーに聞かせるかを調整するのがマスタリングの範囲です。これも専門的な知識とスキルを要する領域であり、最終的な仕上がりに大きな影響を及ぼします
マネジメント
プロデュース
楽曲制作の全体を取り仕切る役割です。音楽を作るには、お金と時間がかかります。人も使います。それらを総合的に取りまとめ、最終的にどのような目的で音楽を作るかの決定権を持ちます。
ディレクション
プロデュースの方針に基づき、作家、演奏家、エンジニアそれぞれの作業の進行を取り仕切ります。
まとめ
以上、簡単ではありますが、楽曲制作における10の役割をご紹介しました。
例えばこれを、「わーさー」という一人のミュージシャンが、一人で完結して作業する時、
作詞:わーさー
作曲:わーさー
編曲:わーさー
歌、ギター演奏:わーさー
その他サウンド・プログラミング:わーさー
レコーディング・エンジニア:わーさー
ミキシング・エンジニア:わーさー
マスタリング・エンジニア:わーさー
ディレクター:わーさー
プロデューサー:わーさー
と、なります。
私が、まず作る音楽の全体像と目的を考えて、予算と期間を設定します(プロデュース)。私が自分の作業を管理し(ディレクション)、自分で詞と曲を作り(作詞・作曲・編曲)、自分で歌ったり演奏したりして(実演)、それを自分で機材を扱って録り(レコーディング)、自分でミックスし(ミキシング)、最終的に仕上げます(マスタリング)。
ちなみに、私が楽曲制作をする時は全て一人で完結する場合もありますし、部分部分を分業する場合もあります。それはケースバイケースです。具体的な制作事例など、また機会があればご紹介したいと思います。
ご参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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