曲作りの進め方
私たちが普段よく耳にする歌の入った曲(音楽のカテゴリとして歌モノとよく呼ばれます)は、大きく分けて「歌詞」と「曲」で構成されます。曲名の後に『作詞』『作曲』と表記があって、ぞれぞれ作った人の名前が出ているのをよく目にします。
では、作詞をする人や作曲をする人は、どのような手順で、何を考えながら一つの曲を仕上げていくのでしょうか?
そのキーワードが『詞先(しせん)』と『曲先(きょくせん)』です。今回は私の作品も例にとって、曲作りの進め方について解説します。音楽がどのようにできるのか興味のある方や、これから作詞、作曲に取り組まれる方には参考になる内容かと思います!
作詞と作曲でやること
まず作詞についてご説明します。
『詩』と『詞』は似たような意味ですが、別の漢字を使っています。これは私たち音楽をやる人間にとっては明確な区別があり、『詩』は音楽に載らずに言葉の繋がりだけで成立しているもので、『詞』は必ず音楽とセットになっている言葉です。作詞は『詞』を作る行為であり、そこには音楽の要素である「リズム」と「メロディー」を一緒に考えなければいけません。一つの曲というまとまり(世界)の中で、登場人物の心情や情景を描写していくのですが、そこにはリズムと音程にうまくハマるような言葉選びをしていく必要があります。
一方の作曲は、音楽を作ることを指します。
ややこしいのは、人や場所によってその言葉の意味合いが変わる場合が多いという問題があります。JASRACなどが管理する著作権の定義として、作曲の権利はメロディーにのみ発生しています。よって作曲=メロディーを作ることであり、それ以外の伴奏(コード進行や楽器の編成)部分は全て『編曲』と定義されます。ただし実際は、メロディー以外の部分も含めて作曲と考えられるケースが多いのが現状です。
詞先と曲先とは?
ここからは詞先と曲先についてご説明します。
これは、作詞と作曲をどの順番でやるかを定義する用語です。
詞先とは、最初に詞を作り、後からそれに合わせたメロディーを作っていくスタイルです。
一方の曲先とは、最初にメロディーを作り、それに合わせた歌詞を作る手法です。
昨今、日本で出回っている楽曲の多くは曲先で作られてると言われます。しかし、案件によっては詞が先にできているものも当然ありますし、作詞と作曲を分業せずに一人の作家やアーティストが行う場合は、同時進行で制作していくケースもあります。どちらも一長一短ですし、明確に詞先曲先を区別できない場合も多いですが、おおよそこのような考え方をしながら楽曲制作が進んでいくと捉えていただければと思います。
制作事例
先日公開したオリジナル曲「KEMONOMICHI」は、私一人で作詞・作曲・編曲を行いましたが、その際は主に曲先で進めました。
ピアノを使ってメロディを考え、それに当てはまる歌詞を考え、思いついた歌詞に合わせてまたメロディを修正し・・・という作業を繰り返して、一曲に仕上げていくやり方です。一人で作業するので、作詞も作曲もほぼ同時とも言えます。ただ今回はメロディの方がウエイトが大きく、それに合わせた歌詞や世界観をイメージしていくような流れで制作しました。
まとめ
歌モノの楽曲制作における、作詞と作曲の進め方について解説いたしました。
複数人で制作をするときは、この辺りの共通認識を持っておくとスムーズに制作ができます。一人で全てやる場合は完全に自由です。
お読みいただきありがとうございました。
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