買い物
私たちは普段、生活に必要不可欠なものから、日々の暮らしに潤いを与えるちょっと贅沢なものまで、色々なものをお金を出して買います。
買うのはものだけではありません。
どこかへ移動するときに電車やバスを利用する時は、そのサービス(してくれたこと)に対してお金を払います(わざわざ移動の度にレールを敷設して鉄道を購入したり、バスを丸ごと一台買うのは現実的ではありません)。
普段あまり気にすることはないかもしれませんが、このお金は誰に払っているのでしょうか?
コンビニで買い物をすればコンビニの店員がお金を受け取ります。電車に乗る時は券売機やICチャージの機械がお金を受け取ります。私たちは彼らにだけ、お金を払っているんでしょうか?そうではないですよね?
この部分を考えることが、実はとても大切です。
お金を受け取る人
お金を受け取る人は誰か?
これは広い視点と長い期間でみて、そのモノやサービスが買える状態になるまでに関わった全ての人です。
例えばコンビニでガムを買うとします。
あなたは120円くらいを店員さんに渡して、ガムを手に入れます。
その120円は、もちろんその店員さんがもらえる訳ではありません。
まずコンビニの売上になります。コンビニはガムを仕入れて、店員さんを雇って、土地代や電気代を払ってお店を運営して、私たちに商品を販売してくれています。ガム一個くらいでは到底賄い切れませんが、多くの商品を売ることによって、最終的にはその売上の一部がコンビニの利益(=コンビニがもらうお金)になります。なので、この時点で120円は、ガムを販売してる元のガムのメーカーさん、コンビニや店員さん(賃金として)、土地を貸している人や電気を送っている人などなど、関わっている人全てにうすーーーくお金が行き渡っています。
ケーススタディ
では、こんな状況ではどうでしょうか?
廃盤になったレアなCDをメルカリで買う
あなたがどうしても欲しいCDがあったとします。そのCDは昔にリリースされて、今は廃盤となっていてオリジナルが普通にはゲットできません。配信もされていません。ネットで検索したら、メルカリで誰かが出品していました。定価はおそらく3千円くらい、でもメルカリでは7,500円になっていました。あなたは散々ネットで検索した結果、今はそこでしか手に入らないことがわかりました。そこでメルカリで7,500円でそのCDを買いました。
さて、この時あなたの払った7,500円は、誰にいくら行き渡ったのでしょうか?メルカリは手数料を10%とるので、750円はメルカリにお金がいきます。送料は出品者負担で700円だったとすると、700円が運送会社に払われます。残り6,050円は、あなたの知らない出品者です。その人が昔定価でCDを買ったとして、その値段を差し引いても、半分くらいはその人にお金がいきます。
あなたがもしそのCDのアーティストが大好きで、その音楽を聞きたくて、お金を払ったとしても、そのお金はアーティストにはいかず、過去にたまたまそのCDを持っていた人にお金が入ります。そのアーティストの創作や演奏には全くお金を払っていないことになります。
こうした、いわゆる転売は市場原理に則ってルールの範囲でやる分には全く問題がありません。しかし、そのお金を払う意味を、買う側の私たちが常に意識しておくことはとても重要です。
テレビ通販で家電を買う
我が家の冷蔵庫はもう10年使っていて、そろそろガタがきて買い替え時になりました。
ちょうどその頃、テレビでは甲高い声で最新(?)冷蔵庫の宣伝をする通販番組がやっていました。
『この番組限定の最新モデルを!』『限定100台!』『今なら分割金利無料!』
なんだかとっても良さそうだったし、お店に行ったりネットで探したりするのも大変なので、すぐに電話をして注文しました。
この時のお金は誰にいくのでしょうか?
通販番組をしている会社にまずお金を払いますが、番組はメーカーからそれを仕入れるため、メーカーにもお金がいきます。冷蔵庫は家まで配送してもらうので、配送業者にもお金を支払っていることになります。分割払いはクレジット会社が金利をとるので、通販会社が負担していると言いつつも、あなたが払ったお金から支払われているとも考えられます。
そして、忘れてはいけないのが、テレビ局です。
テレビ局は、テレビ番組を放映する時間を、通販会社に売ります。通販会社はタダではテレビ放送させてくれません。テレビ局から、放送する時間を買っています。その額は一体いくらくらいなんでしょうか?テレビに流すと日本全国のたくさんの人にその商品を紹介できるので、凄まじい宣伝効果です。きっと買ってくれる人がたくさんいるでしょう。そんな効果抜群のテレビの時間を使う権利に、あなたが買った冷蔵庫の代金のどれくらいがあてがわれているのでしょうか。
まとめ
商売をする人は、売ったお金全てが自分の手元に残る訳ではありません。
商売をするために、品物を仕入れるのはもちろん、人を雇ったり、お店を構えたり、宣伝をしたり、色々なことにお金を使います。
私たちが買っているものやサービスは、それらが全て上乗せされている、ということを頭の片隅に置いておくと、買い物をするときの「高い」「安い」の感覚が変わってくるかもしれません。
そうした価値判断がよくなっていくと、何をどこで買うのがお得なのか、それを買ったらどれだけ自分が嬉しいのかがわかって、同じ買い物でも人生の充実度が変わってくるはずです。
長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
【本日のオススメ本】
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